枚挙に暇がない

自分の脳内を形にしたい

- THE KEBABS対面インタビュー

※本記事は2020年3月10日にTHE KEBABSに対面インタビューを実践躬行したものです。

 

お初にお目にかかります。あさのぐると申します。自分の人となりは、もしよろしければ他のブログ記事をお目通し頂けますと幸いです。
この度、ご縁がありまして、THE KEBABSの佐々木亮介さん(ボーカル・ギター)、田淵智也さん(ベース・コーラス・ボーカル)に対面インタビューを決行いたしました。メンバーの皆様、スタッフの皆様、お話をいただきましてありがとうございました。

 

導入

 

 感染症流行の中で、自分の生活様式は大きく変化した。仕事では薄いフィルム越しで意思疎通を図る事に難しさを感じる。私生活では楽しみにしていた音楽ライブを含むイベント事がほとんどなくなり、近場の友人と遊ぶにしても時期と場所に気を使ったりと、オリが沈殿するように心の奥底でフラストレーションがたまっている気がする。

 自分は音楽ライブの事を、話し言葉の文化と同様に、音楽をきっかけに同じ時間と空間を共有することのよって、人々が結びつく現代の文化形態の一つなのだと思っている。
 元々、自分達の世代は、特定のなにかを見て人と時間を共有することが極端に少なくなった。メディア文化が多種多様化し、個人が分断されたのだと思う。その一方音楽業界ではCDの売り上げが少なくなってきた中で、ライブの公演数や集客が伸びているのが昨年までの流れだった。この流れがひっくり返った今年、無観客ライブの配信が主要になり各種ネットサービスの安定化が急速に進んだ気がする。ネットでの個人聴衆は時間や居住空間を超えての共有を可能にし、様々な理由でライブハウスに赴けない音楽ユーザーも参加することができる最高の形態だと思う。でも、「生の体験に勝るものは無い」というユーザーもいるとは思うし、かくいう自分もそちら側の人間だ。

 ただ、最初からライブハウスで聴く音楽が好きだったかと言うと、かつての自分は、音楽自体は好きだったが、CDを一人で聴くのを好んでいたし、音楽ライブやライブハウスはアングラ文化で怖い物だと認識しており足を運んだことはなかった。しかし、高校三年生の秋にとあるライブレコーディングアルバムに出会ったのをきっかけにライブハウスに赴くようになる。それからというもの、ライブレコーディングという手法が気になり、ナタリーや音楽雑誌を辿ってみたのだが、なかなか作品が見つからず、それが「日本の音楽シーンでは珍しい収録形態である」という事がわかった。

 話は少し飛んで、あれから数年。かねてより動向を気にしていたTHE KEBABSがメジャーデビューアルバムとして「ライブレコーディング盤をリリースする」と知って驚いた。
 自分は音楽についてはど素人だ。でも、漠然とだが彼らの音楽にはルールもコンプライアンスもない純粋にロックンロールを楽しむ姿勢が感じられる。そんな彼らが「ライブでデカい音を鳴らしそれをパッケージングする」事にとても惹かれた。それと同時に高校三年生の秋の事を思い出した。

 ライブ盤はどうして日本の音楽シーンにおいて珍しいと言われているのか。そして彼らはなぜそんなライブ盤をデビューアルバムに選んだのか。ただ、彼らの音楽を「楽しむ」だけで終わりたくないぞと、今回インタビュー企画に応募してみた。

今から彼らの音楽の裏側をのぞいてみたいと思う。

 

本編

 

――――――ライブ盤が発売して少し経ちました。圧巻の演奏だけでなく、お客さんの歓声であったり、パフォーマンス中に生まれたマイクの音の乱れであったり、たくさんの情報を汲み取れるアルバムだと感じました。ライブ盤なので、アルバム一本まるっとヘッドホンで聴くのを個人的に推奨したいのですが、サブスクや個別ダウンロード派の方もいるので、オススメの聴き方があればお聞きしたいです。

 

佐々木 今回、ライブレコーディング盤(全国流通盤)とスタジオレコーディング盤(ライブ会場/通販限定販売)を同じ曲順で出したら面白いのではと、田淵さんが言ってくれて。この楽しみ方をしてほしいって言うのは無いっちゃ無いけど、フラッドでも流れは考えて作っているポイントだから。狙いがあって曲順を作っているという事はわかってもらえるとめちゃくちゃ嬉しい。

田淵 収録順に聴いてくださいという事をSNSやラジオでただ言ったって、時代にあっていなければ聴かないと思うんですよね。アルバム1枚買えないから、一曲だけ買うって言うのが時代に合っているなら、時代にあっているものに対してただ「収録順に聴いてください」って命令するのは効果がないと思っているし、あんまり面白くないと思っていて。でも、ライブやCDアルバムを曲順で聴いた時におこるマジックというのを俺たちは信じているから。時代に反しているものを作っていても、じゃあどうすればこちらの意図通りに聞いてくれるのかというと仕向けたいと思っていて。何かプラスの形で行動しないと何も変わっていかないと思う。
 例えば違法ダウンロード反対みたいなものに対してただ禁止して終わりというわけじゃなく、しないようで済むようプラスに行動するように仕向けるのも我々の役目かなと思っていて。だから、ライブアルバムを作りました、実際のライブレコーディングと同じ曲順ですってなった時に順番通りに聴く人が増えるとしたらプラスのアプローチができたのだろうと思うから。そういうのを完全に狙っていたわけじゃないけど、ライブアルバムってそういう事だから。最初から最後まで曲順通りに聴くと良い事があるよって。

――――――なるほどです。ありがとうございます。

 

――――――あさのの応募動機について


田淵 応募動機が「なぜライブアルバムはないのか」みたいな。
――――――そうですね。
田淵 ライブを好きになるきっかけがあったんですよね


――――――高校生くらいまで、自分の中で音楽ライブはアングラ文化で怖いものという認識があって。母方の祖母が人形浄瑠璃をしている家系なので、小さい時からそういう古典芸能には触れる機会があったんですが、音楽ライブってクラシックのコンサートくらいしか触れた事がなくて。そんな時に聴いたのがMONOBRIGHT(2007年-2017年)の「新造ライヴレーションズ(2012年)」というライブレコーディングアルバムで。ライブレコーディングという技法が世の中にあるのか!という驚きとライブって面白そうだなと興味が湧いて。


田淵 うわー!良い話だ。


――――――とにかくその体験が衝撃的で。ナタリーや音楽雑誌を漁ったんですけど、「ライブアルバムというのは日本の音楽シーンにおいて少ない」というのを目にして。とても疑問に思ったんですが、それは解決せぬまま8年という時が経ちまして、今に至ります。

 

佐々木 たまに「ライブ盤も良いけど、ちゃんとしたスタジオ盤も聴きたい」って意見があって。あ、スタジオ盤の事を「ちゃんとしたモノ」だと思っているんだなと。

一同 (笑)

佐々木 いや、わかるけど。俺らは一つの正解だと思ってライブレコーディング盤という形で出してるし。スタジオレコーディング盤も一つの正解だけど、どっちがちゃんとしているってわけじゃなくて。俺たちのやっている音楽の見える角度を変えているだけでやっている事は一緒だから。
大多数の人がスタジオ録音したものをずっと聴いていて、一つの音楽の録音方法がその人の聴き方に固定されているのかもしれない。それ自体は否定しないけど、ライブ盤の面白い聴き方がもっとあるんじゃないかな。

 ライブ盤は録音している時に異常に緊張感があって。その逆でスタジオでで録音をするときはその緊張がないんですよ。直せる前提で録音をするから。ライブ盤はその緊張感を楽しんでいるし、本当はその緊張感とか、その場でしか起きない事がライブでの音楽なのに。曲を確認しにライブにくるだけだとその場で起こることに対して期待していないというか。田淵さんがライブレコーディングアルバムでいこうって言い出した時に俺が一番ワクワクしたのは、それで。録音の仕方とか、リリースの仕方に正解はないんだなって。

 

田淵 あさのさんがそのライブアルバムを聴いて、ライブというものが楽しいと思ったと言う事は、スタジオ盤で聴いた上では感じなかった音楽の楽しさとか違いが見つかったって事ですか?

――――――その時のライブアルバムにはコールアンドレスポンスとかもあって。ライブって声上げるのか!って。そもそもライブ上でのお約束みたいなものがあるってこともそれまで知らなかったですし。その未知との遭遇がすごい良いなと思っちゃったんですよね。


佐々木 声を上げない人形浄瑠璃がベーシックにあるからね
田淵 へー!おもしろい、声をあげないのがデフォルトなのか!
佐々木 歌舞伎とは違いますからね
田淵 ギャップがあるなあ。それでライブには行ったんですか?


――――――大学入る手前にライブハウスに行って。フォーマンくらいだったんですけど。出演者1組しかわからない、予習してないわけわかんない状況で人混みに揉まれて。でも、その時のライブは特別でしたね。そのあと、大学入って演劇しながらライブハウスに通ってました。ユニゾンも大学生の時、初めて拝見しました。


田淵 なぬ!それもフォーマンくらいの?
――――――ではなくて。大学祭でのツーマンだったんですけど。その時まで、ライブには決まりがあるのだって思いこんでたんですけど、前の男の子二人が所謂地蔵になってて。でも、めちゃ楽しそうで。地蔵でもお約束とかしてなくても楽しく見て良いんだと思いました。


佐々木 サビで手をあげるみたいなね
――――――そうです!それです!
田淵 さっきのコールアンドレスポンスってやらなきゃいけないと思ってライブに行ってましたか?
――――――当時はめちゃ思ってましたね。
田淵 ほらー。よくないところだよーロックバンドの
――――――あと、ルールとかよくわかってなかったので、変なタイミングで反応してしまう事に対して恥ずかしさを感じてしました。
田淵 うん、あるよねー。


佐々木 俺がもし演奏してたとして、全然 Aメロの意味わからないところで手をあげてくれる子がいたら、最高にぶちあがりますよ。
田淵 俺は指差して笑うかもな
佐々木 確かに、曲が高まったタイミングでみんなの手が上がるのも良いんだけど。俺はライブに行く時、自分が高まったタイミングで手をあげちゃうから。だから、舞台上でそれ見たら、嬉しくなると思う。今のAメロ最高だったでしょ!?みたいな。
――――――なんだか、救われました。これからはライブ見る時、己に従います!


田淵 やっぱりあれなのかな、全然違うところでアクションを起こす事に対して、「あなた違うでしょ」って空気になるのが怖いみたいなことはあるんすか
――――――めっちゃあります。
田淵 これ、たぶん今読んでて、共感する人いるだろうなあと思う


佐々木 僕らは古典芸能に触れてないですけど、自分たちの20歳くらいまでの人生の中で、人生そのものにお約束ごとがあり過ぎると思って音楽を始めている節はあると思うので。決まりがあるのを面白く思う人もいるだろうけど、そういう意味ではお約束がないほうがライブは面白くなるかもしれない。


田淵 お約束ごとに揉まれて、ライブというものを思い込まなくて良かったね
佐々木 確かに
田淵 一回行ったら思い込んじゃうじゃんねー。自分に合わなかったら、行かなくなる気がするもん。ライブってみんなで同じことやらなきゃいけないのかー。じゃあ、家で音楽聴こうかって。そういう人もいそうな気がするけどね。

――――――ほんとですね。面白い話をありがとうございます。

 

――――――先ほども触れたのですが、ライブ盤に触れたのは人生で二度目です。初めて聴いたアルバムではコールアンドレスや手拍子などライブの「お約束ごと」を別録音し、ミックスされていました。今回のTHE KEBABSのアルバムでもいくつかお客さんのコールや歓声が収録されていましたが、オーディエンスからの自発的な投げかけだったのでしょうか。

 

佐々木 うん。お客さんは曲を知らないからこその奇声を発したりとか、どこで声をあげていいかわかんないからこそ、自分が高まった時に声をあげている気がして。だから、音源の彼ら彼女らの歓声は全部本物で。そこで盛り上がるのか!みたいな事がいくつかあって、俺もその場で反応しちゃうから、歌のリズムが変わったりその場のノリで歌詞が変わったりとかしていたし。THE KEBABSがスタジオ音源をまだ世に出していない状態で録音したから、何かを再現したわけではなくて、その新鮮さとかフレッシュさは俺らもお客さんも感じた事なかったと思うから。あの瞬間の予習ゼロの人達と「曲知らないけど最高に楽しんでやるぜ」って気概のある人達とやれたことはこんなに良いことなくて。一緒にお客さんと楽しみたいと思っているから、ライブレコーディングのあの瞬間はみんな積極的でその気持ちが爆発してたと思う。
 俺は基本、受動的なことをつまらないと思っていて、能動的である時間が最高だと思っている。普段のライブもそのバランスが難しくて。みんなお金を払って楽しみに来てくれて、とてもありがたいことなんだけど、知っているものを提供して欲しくないって思っている子もいれば、ここで踊ったりしたら良いんだよってガイドを欲しがる子もいる。それは俺にとって受動的なことだと思っていて。

 よくわかんないからガイドが欲しいってのはわかるけど、俺はよくわかんないことも含めて楽しみたいと思っているから。だからこそ、今回のライブ録音の時になにが起こるか俺らもオーディエンスも未知な状態だったけど、でも楽しんでやろうって純粋にオーディエンスが反応してくれた事がすごい美しい事だと感じた。


田淵 いつの間にやらライブって音源で予習してきた事を確認しにくる場所っていう認識が強くなってきた気がしていて、予習してみんなと同じことしないと楽しめないのかもっていう風に、世の中の空気がそうさせてきたんじゃないかなって思う事がある。曲的に盛り上がるのがライブの正解みたいな、そういうお決まり事みたいな事に対して、たぶん僕も佐々木もいまいちピンときてなくて。
ロックバンドをライブで見るって曲知らなくても面白いもんは面白いし、でもそういう体験をみんなもうできないんだろうなとも思っていて。
俺、この間シークレットでとあるライブに出たんだけど、俺らは淡々と曲やるだけだからやっぱり客は40分間くらい何をしたらいいかわからないって状態になってて。俺はその反応が超面白かったんだけど。多分その中に目には盛り上がってなくても「なんじゃこりゃ」って感動したやつが、きっといるんですよ。ライブってそれでいいじゃんって。けどそれとは別の話で、目の前で超かっこいいバンドがでかい音を出しているって状態に対して、かっこいいってなったときについ体が動く、声を出すって体験はたぶん若い子たちがほぼ知らないんだろうなと思っていて。それが今の流行なら別にいいんだけど。でも誰とも違うアクションしている人がいるみたいな状態がロックバンドやライブハウスにはあって欲しいなと思っていて。ライブとはこういうものだって行ききってしまったAの世界線に対して、反対方向のBの方法もあったじゃないってもし今回のライブ盤で提案できていたならば、誰か一人のロックファンを救えたかもしれない。
 自分もライブハウスによく行くけど、良いバンドだなって思ってチケット取って行く時も全部予習しなきゃ楽しめないとは思っていなくて。知らないで見たバンドが楽しくて良いなと思ったこともあるし。ライブハウスってそんなに堅苦しいものじゃないんだなと思ってくれるやつが出てきてくれたらそれも良いなと思っている。

――――――なるほどです。ありがとうございます。

 

 

――――――今回のライブ盤、初回限定盤のBonus Discの「THE KEBABSのテーマ」の編集がとても気になりました。あれは収録音源決定時からあった仕掛けなんでしょうか。

 


田淵 イカしたフェードミックスの話だね
――――――あれって、ただのクロスフェードじゃなくて、途中でいろんな音が混ざってデモ音源からライブ音源に切り替わるじゃないですか。個人的にあれはなんじゃこりゃポイントでした


佐々木 はは。大正解。
田淵 あれは目的がちゃんとあって。THE KEBABSはデモ音源を二枚出してるんだけど、それの再販をもうしないので、ライブ盤とすでにMVがネットに上がっている曲を併せて全曲網羅できるようにライブ盤の収録曲を決めた。ボーナストラックはデモ音源とアンコール分のライブ音源も合わせて収録することになったんだけど、一つの案としてserial TV drama(2004-2012年)の「まばゆい」のカバーを入れたいというのがあって。これはCD買わないと聴けないぞという。
一同 ははは


田淵 サブスク派は聴けないぞとね。曲順を決めたときにデモ音源二曲のあと、ライブ音源に音が変わるタイミングがあって。じゃあ、「THE KEBABSのテーマ」の一曲の中でデモ音源からだんだんライブ音源に変わるのはどうだろうと会議で決まった気がする。
佐々木 デモ音源がスタジオ録音だから、トラック変わって突然ライブ音源に変わってしまうと空気が繋がらないしね。
田淵 うん


佐々木 田淵さんてDJめちゃめちゃ向いてると思っていて。曲の流れとか空気がどうやったら繋がって、どうやったらかっこいいかとか想像して決めているんだなってわかる。デモ音源からライブ音源に繋げるアイデアもそうなんだけど、どうやったらスムーズに繋げられるかってセンスに長けていると思っていて。これはその現れだと思います。ボーナストラックの決まった枠の中でそれを最大限に活かすってなった時にその流れを思いつくとは俺は思わなかったから。結構びっくりして。
田淵 確かに、気付いたらライブ音源になってたらウケるねって出した気もする


佐々木 CDでしか聴けないけど、単純に「まばゆい」が面白くて良い曲だからこそ今回入れたわけで。その出揃った枠の中でどんな風に曲を繋げば面白いか考えてるからこそ出てくるアイデアだから、すごいんですよ、絶対 DJ向いてると思う。
田淵 はははは
佐々木 なんか0から1を出す才能があるくせに、もうあるものを組み合わせて新しいものを作れる才能もある人なんだと思う。それはすでにある物とか先人のものに対して謙虚にリスペクトを持っているということで。魅せ直す事ができるってすげえかっこいい事だと思うんですよね。
田淵 これは新井くん(※新井 弘毅:ギター・コーラス)技術的なアイデア勝ちだと思う。どうやったら音源的にスムーズなミックスになるか俺は全然そこのアイデアなかったから。新井くんはそこが長けているからどのエフェクターを使えば良いかとかたくさん提案してくれるし。


佐々木 ミックスの時は新井さんが「もっといっちゃお!」ってガンガン進めてくれて、楽しい時間でしたね。
田淵 曲がどんどん化けて行くから。そう、そう。最後にこぼれ話が一つあって。
気付いたらライブ音源になる編集を1サビのタイミングでやるってアイデアまでは出たけど、そのあとの展開としてサビになった瞬間歓声を足そうってアイデアが出てやってみたの。プライムゴール(スーパーファミコンサッカーゲーム)の歓声みたいなやつ。
佐々木 それだ
田淵 入れてみたら超ダサくて。でも、有か無か意見が割れたよね。本当はどっちでもよかったんだけど、結果的に入れないってなった。内輪ウケになりそうだからやめようと。
佐々木 THE KEBABSはそこの線引きが難しいところですよね
田淵 あれ世にだしてえなあ
佐々木 「THE KEBABSのテーマ~Jリーグバージョン~」ですね
――――――うわあ。それ、めちゃ聴きたいです。

 

最後に気になるあの子について聞いてみた。


――――――ライブ盤とまったく関係ないのですが。THE KEBABSのマスコットキャラクターはたぶんパンダだと思うんですが、なぜですか?

田淵 そうだよって言おうとしたけど、そうじゃないんだよ!
佐々木 ケバブくんみたいなやつがいるんだよ
――――――そうですよね。すみません。でも、個人的になんでパンダが出てきたんかなって疑問がありまして


田淵 名古屋で最初のワンマン(2019年8月THE KEBABS 進撃 ~愛知"初"上陸作戦~)やった時、前日に俺、和歌山に行ってて。そこで買ったんだよ。立ち寄った店にたまたまパンダが置いてあって。明日THE KEBABSのライブだから買っていくかってなって。これがステージ上にあったら!楽屋も盛り上がるかなって。
佐々木 あの時、めちゃくちゃ楽屋で盛り上がっちゃったんだよな
田淵 だから、それで買って行ったのが最初。それ以上でも以下でもない。そこから調子こいてちょこちょこ出すようになった。
佐々木 まさか実物大になるまで思わなかったけど

 

↑デビューアルバムのOP的曲にもなっているオーロラソースのMV。等身大のパンダが登場する。

 

田淵 何にも関係ないし、これからもメインキャラクターにする気もないんだけど。


――――――なるほど。そこで気になるのは、パンダの歌を今後作られる予定はございますか?
田淵 客が思いついてる時点でやらないな
――――――しまった!言わなきゃよかったです


田淵 でも、あのパンダは声をまねっこしてくれるから、何かに使えないかなって思っているよ。俺、バンドのグッズの紹介MCするの嫌いなの。あれをパンダにやらせれば良いんじゃないかと思ってて。
佐々木 自分も喋ることになりますけどね
田淵 あ、そっか。あれ、事前録音はできないもんね。じゃあ、やめよう
佐々木 その煩しさも可愛いんですけどね
田淵 でも、買ったからには部屋のインテリアとして錆びていくのは悲しいから。一応、THE KEBABSのライブがあれば持ち出してあげて、写真とか撮ってあげてる。
佐々木 ジップロックに入れてますよね。あれウケるんだよな
――――――ジップロックに入れてるんですか!?


田淵 うん。家でもジップロックに入れてる。俺、本当に物汚す癖があって。小学校の時も俺だけランドセルの中身真っ黒だったんだよな。
佐々木 なんですか、そのエピソード(笑)
田淵 工夫すれば被害が防げるって知ったからね
佐々木 そういえば、あれ、和歌山で生産してるみたいですね
田淵 まじで!?ジップロック!?
佐々木 …いや、パンダちゃんの方です。

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インタビューを終えて

 これにて取材文は終わりです。
「ライブレコーディング盤がなぜ日本の音楽シーンにおいて少ないと言われるのか?」という疑問はきちんと解決することはできなかったが、彼らの音楽の裏側は覗けたと思う。音では拾えない部分、制作過程や音楽を取り巻く世の中の流れなどを直に聞けたので、今までとは違う視点を持ってこれからも彼らの音楽を楽しめると思うと、わくわくしてくる。今回の記事でその魅力がどこまで伝わっているかが、不安だが、この感興を分かち合えると嬉しい。ロックバンドはどこを取っても魅力的だ。


 半年前の取材にはなりますが、佐々木さん田淵さん、お二人とも言葉の選び方が巧みで、取材中はずっとリードして頂きました。一般人の自分がこうして記事を書かせていただけたことは、取材にお答えいただいたお二人とスタッフさんのサポートがあったおかげです。本当にお世話になりました。取材終わりに「良い記事になるよ!」と言っていただけたことが忘れられません。時間はたちましたが、一つの形にできて良かったです。ありがとうございました。

 

たぶんみなさん重々ご承知だと思いますが、「イカした人達」でした。今後の彼らの活動にも期待です。とりあえずライブ録音盤とスタジオ録音盤をもう一度聴きくらべようと思います。ちなみに「THE KEBABSは忙しい」がお気に入りです。自分は全くもって疎いのですが、サブスクリプション配信もあるそうです。オススメです。

 昨今、大変な状況が続きますが、薄紙をはぐように良くなると思います。音楽が好きなすべてのみなさん、また元気にライブハウスでお会いしましょう。

 

かしこ

 

2020年10月2日 投稿

 

10月20日あとがきになりきれないものを書いた→