枚挙に暇がない

自分の脳内を形にしたい

取材記事あとがき

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THEKEBABS取材記事公開が無事終わった。

https://momononouta.hatenablog.com/entry/2020/10/02/181950

直しは何度か入れていたが、本文を書いていたのが3月の事だったので、忘れていることも多く、備忘録的なあとがきを書いてみようと思う。

改めまして。THE KEBABSメンバー・スタッフ方、取材記事をお読みいただいた方、ありがとうございました。

 自分のような一般人でも参加することができた本取材企画。他のインタビュアーの事を一切知らないブラインド状態で、企画に参加していたのだが、今思い返すと錚々たる顔ぶれの中に名を連ねることが出来たことは幸甚の至りである。他インタビュアーの記事が公開されるたび、心を躍らせていた半年前が懐かしい。

 他の参加者にもいると思うのだが、字数の関係で公開した記事9900字余りに収まりきらなかったエピソードがいくつかあり、対面インタビューならではのこぼれ話も頂戴したのが、それらの話を胸三寸に納めているのが非常に勿体なく感じている。どこかで回収されると非常に嬉しいのだが…

 

 今回、自分の記事を通してたくさんの音楽ユーザーの反応が知れて本当に良かったと思う。自分のルーツ的に音楽ユーザーのコミュニティの門戸をなかなか叩く事ができず、ライブ体験を自己完結してきたので、THEKEBABSお二人の話や記事への反応を通して、音楽ライブで感じていたモヤモヤを自分なりに昇華する機会になった。

 ライブハウスに友達ときてる人とか、ライブハウスに行けば馴染みの人に声かけるみたいな世界線に生きたい人生だったが、いかんせん圧倒的に会話力が足りてないので、来世に期待するしかない。これからも私は一人で気ままにライブを楽しむ事にする。

 

 取材記事序文に書いたのだが、自分達の世代はとにかく便利な時代でたくさんの物に溢れていて、趣味嗜好も多様化し、他の人と時間を共有することが少なくなった個人分断の時代だと思っている。

 そんな中で、CDの売り上げが低迷する中、ライブの公演数や集客が伸びている音楽業界。自分はそんな音楽ライブの事を話し言葉の文化と同様に、音楽をきっかけに同じ時間と空間を共有することのよって、人々が結びつく現代の文化形態の一つ」だと考えている。

 自分は言葉を交わすのが苦手なので、ライブ体験特有の「言葉を交わさなくても生まれる一体感」というのが好きだ。その中でもライブハウスという箱でのライブ体験には独特の魔法がある。

(ただ、よく現代の音楽シーンにおいて論じられている一体感至上主義に関しては思うことがあるので、ステージも一緒になって「イェー!」みたいなのは好きじゃないという矛盾)

 

 元々の自分のルーツ的に足を運びやすかったのは、フェスや大きいホールのようにアーキテクスチャが洗練された環境だが、「音楽を純粋に楽しむ」という事を考えた時にライブハウスでの音楽体験とフェスや大きい会場での音楽体験は地繋ぎではないと昨今思うようになった。(どちらも魅力的だけれど)

 あの小さな環境だからこそ、肌で感じられること、目に留まる事があるし、今は世の趨勢を見守るしかないが、いつかまた足を運びたいし、いつまでもなくならないでほしい場所の一つだ。

 

 これはまったくの余談だが、自分は、演劇は「見る」物で音楽ライブは「体験する」物だと思っている。今まで無意識に使い分けていたが、

今回の取材記事作成にあたり、ライブ独特の作法についてそのルーツを辿るため、とりあえず社会学系の本にいくつか目を通してみた。

 昔にさかのぼると、音楽ライブもまた一般的なコンサートのように「見る物」であったそうだ。60年強の長い時間をかけて、様々な文化の変化と共にライブ音楽もまた、今の形式へと変化してきた。モッシュ・ダイブを始めとした、様々なライブ作法はこうしたユーザーの認識の変化や大型の音楽イベント・ライブハウスの登場により定着してきたようだ。

 ヘビーな音楽ユーザーからは鼻で笑われてしまいそうで恥ずかしいが、今日日のライブハウスでの体験がそうした歴史の積み重ねによって生まれていることを自分はまったく知らなかったのである。これは自分にとって大発見だった。歴史を知っているのと知らないのとでは、今の時代の音楽へのとらえ方もきっと変わってくるだろう。

 音楽ユーザーとして、提供される音楽に盲目的になったり受け身になる事は作品にも作り手にもよくない気がしてきていたので、自分の中で考えるきっかけができて本当に良かった。圧倒的に読解力も語彙力も足りてないが、これからもロックバンドを楽しむぞ。

 

 先月、9月19日からイベントの開催制限緩和が始まり、映画館などの声を発しない場では減席を取りやめ、全席開放が始まるなど、段階的に日常に戻りつつある動きがある。

 今月自分の好きなバンドのツアーが始まったが、「歓声無し、拍手OK、椅子に座ったままロックバンドを鑑賞する(※アコースティック形態ではない)」という今の時期に合わせた特殊な物だった。音楽ライブ会場独特の「ごちゃごちゃした雰囲気」が苦手な人には逆に今が会場へ踏み出すチャンスなのかもしれない。正直、自分のルーツ的にはこっちのほうが性に合っていたりする。
 一時期はイベント事への世間の風当たりが強く、「その場に赴くこと自体が悪」とされていたような声もあったが、行くも最良行かぬも最良。行く人は周囲に迷惑をかけず厳格なルールの下で楽しく見届けること、行かぬ人は次見れるまで楽しく生き延びること。どっちを選んでもできる限り今の時代を楽しんだほうが未来のためにもきっと良い気がする。

 

 寒くなると気が滅入って仕方がないが、次の楽しみをまた気ままに見つけるぞ。

 このブログも見切り発車で始めたが、のんべんだらりと続けていこうと思う。

 それでは、お元気で。

 

かしこ

 

 2020年10月20日投稿